イレカワリ~番外編~
2人はさっきから俺たちにはわからない会話をしていて、後部座席には沈黙が続いていた。


なにか話しかけた方がいいに決まってる。


だけど、普段と違う場所に戸惑い何を話していいかわからない。


そんな時だった。


ふいに指先がここねの指に触れた。


「あ、ごめん」


咄嗟にそう言い、手をひっこめる。


「ううん、大丈夫だよ」


ここねは頬を赤らめてそう言った。


そして、そっと俺の手を握りしめる。


その体温にドキッとしてしまう。


病院に到着するまであと数分。


たったそれだけの短い時間を、俺たちは手を繋いで過ごしたのだった。
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