イレカワリ~番外編~
信じられない
正直、ここねの事が好きなのかどうか今もまだわからなかった。


一度迷ってしまった気持ちは答えが見つかっていない。


だけど、今の気持ちを正直に伝えよう。


ずっとそばにいてほしい。


笑っていてほしい。


失いたくない。


そんな、わがままな自分の気持ちを。


その上でここねに判断してもらえばいい。


そう、思っていた。


俺はここねと約束をした体育館裏へと急いでいた。


とてもいい天気で日差しが暑いくらいだ。


鳥の鳴き声と風の音と、グラウンドから聞こえて来る部活の声。


体育館は夜から何かに使われるらしく、今日は部活の音は聞こえてこない。


静かな体育館を横切って、焼却炉などが置かれている裏へと体を滑らせた……その時だった。


数人の男子生徒の姿が見えた。


みんな同じクラスの連中だ。


何かを取り囲むようにしてしゃがみ込んでいる。


その中心から白くて細い足が見えた。


瞬間、体がカッと熱くなるのを感じた。


何も考える暇もなく「なに、してんだ!!」と声を上げながら輪の中に入って行く。
< 88 / 117 >

この作品をシェア

pagetop