12月のアリス

あ、チビ丸発見。

「チビ丸!」

「!!チ、チビ丸じゃない!麻白だもん!」

彼女が俺の方を向いた。
やっぱり。チビ丸だ。

俺は
三上 朔夜
23歳で、小説家。

真田麻白はチビだからチビ丸って俺が名付けた。

最近チビ丸に絡むのが楽しみな男。


「チビ丸、何処行くんだよ」

「そ、そんなにチビじゃないし…。チビ丸じゃないってば」

「何だよ、いいじゃん。で、何処行くの」

「…パ、パン屋に…」

「ふーん、パン屋ねぇ…また食パンか?」

「え、…うん…」


いつもいつも食パンって…

まぁ目当ては知ってるけど。
食パンの行き先はどうせ彼処だからな。

…こいつ、チビ丸はいつもある男に食パンを渡してる。

その男がスキなんか知らんが…。

そのコトを考えると何故か知らねぇが胸が痛い。
原因不明の胸の痛さだ。

「あ、あの…、あたし、もう行きますから…」

「え、あぁ…じゃあな」


チビ丸はペコリと頭を下げて、走り去って行った。

「…何であいつ、俺にはよそよそしい態度すんだよ…」


走りさる背中を見てると、また胸が痛くなってきた。
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