charm






━カチャッ



「う、うわあぁっっ?!!」



目の前には、薄っすら茶色がかった髪の毛で、コウさんにそっくりな男の子が立っていた。



「はっ、なんだよその声」


八重歯を覗かせて、クックッと笑う目の前の彼。


「そっちこそ驚かさないでよ、シュン」


コウさんの一人息子のシュンだ。
2年程前にコウさんが紹介してくれてから、ギコチナクだが少しは仲良くなれた…と思う。

私より1歳年下の彼は、現在高校1年生。
身長は175cmほどで、細身で薄っすら焼けている体に、程よい筋肉がついてる。いわゆる細マッチョだ。


「悪かったよ。そんなに怒るなよ」


トン、と扉の枠に腕をかけるシュン。

彼の鋭い瞳は、ジッと見つめることができない。

心をすべて見透かされているような気分になるから、落ち着かないのだ…。


「お、怒ってない。それより、なんでこの部屋の前に?」



コウさんも疑問だったのか、

そうだそうだと言いたげにシュンを見つめていた。



「あ、そうそう。忘れてた」


ポケットをゴソゴソとしてから、何かを取り出した。




「ほら」





ギュッと何かを掴んでいる拳をこちらに向けてくるので

ゆっくりと受け取って見てみると


うん…??



━ チャラッ





「か…ぎ…?」



どこかの鍵と、それにゴールドの犬のチャームがつけられている。



「ここ、お前ん家だろ??鍵ぐらい持っとかねえとな」



少し照れくさそうに言うシュンが、

とても可愛らしく、愛おしく見えた。



私、家族として歓迎してもらえてるんだ…

体の中でスッと何かが抜けていって


「ふふっ…ありがとう、シュン!」


自然と笑顔がこぼれていた。


すると、横からスッと頭をポンポンしてくるコウさんが。


「よかったね、ニイナちゃん。
シュンと兄弟仲良く、これからもよろしくね」


家族っていいな、と思った。


「はい!!」





ずっとずっとこの幸せが続いてくださいと願った。


これからは2人の幸せが、4人の幸せになるんだ。


もう、ママが辛い思いしなくて済むんだよ。





ずっと欲しかった家族の温もりに、涙がこぼれそうになった。







< 5 / 5 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop