腹黒御曹司がイジワルです

彼は修業に出ていた別の会社から、二年前に我が営業部に転職してきた。
私と同じ二十七歳で、なかなか仕事もできる。

その上、人当たりがよくていつもニコニコ笑顔を振りまき、敵を作らないタイプ。

だけど見た目は男らしく、背は百八十センチを超えていて、細マッチョ。
笑うと柔和な雰囲気が全開になるけれど、二重のはっきりした目は、会議の時などはキリリと凛々しい。


他の女子社員は皆、彼が御曹司だと知っていて、用もないのに『宮城さーん』なんて近寄ってくる。
それでも彼は『はい』とニッコリ笑って返事をするから、誰もやめようとしない。


私はそれが気に入らない。
彼は御曹司かもしれないけれど、今はただの同僚。

だから、用もないのに話しかけたりしない。

特別扱いもしない。
ついでにコピーを頼むこともあるし、時にはコーヒーを淹れてもらうこともある。

もちろん敬語も使わないし、間違っていると思えばズバッと指摘する。
< 11 / 34 >

この作品をシェア

pagetop