【企画】海のあるここで
「もう、ちょっとアンタたち!みなみの傷口に塩ぬるのはやめてくれんかね!?」
「わっ!佐々山がきたぞ!」
「逃げろ〜〜!」
そう言って一目散に逃げて行った男子たちに安堵のため息をつく。
「ささりん、ありがとね」
「いいえ〜」
この子は佐々山りん。
私の親友で、あだ名はささりん。
「ところで、アンタたち本当に付き合っとうと?」
「な、なんでよ……」
「だって卒業式以来、1度もデートしてないっちゃろ?」
「うっ……」
ささりんの言葉にうろたえながらも本当のことなのでうなずいた。
「10年の初恋が実ったと思ったらこれやけんね〜。そりゃ萎えるよね〜」
……そう。
私の初恋のひとは幼なじみのコウ。
10年の片想いを経て、先月あった中学の卒業式に見事に告白され、付き合うことになった。