【企画】海のあるここで


コウは女の子と馴れ合うタイプの男の子じゃなかった。


私以外の女の子には笑いかけたところなんて、今まで見たことなかったのに。


なのにあの子とは、仲が良さそう。



「……みなみ?」



名前を呼ばれて自分が下を向いていたことに気がつく。


会いたかったコウがいる……。

すぐそこに。目の前に。


なのに、今すごく泣きそうーー。



「えへっ、コウに会いたくて来ちゃった!」


「はあ?」


「い、いーじゃん別に!コウが構ってくれんから私がこうやって……」


「アホか!俺は遊ぶためにここにおるんじゃないっちゃけん!」


「……っ……」


「冷やかしなら帰れ」



コウの怒った表情と、言葉にのどが痛くなる。


なんで?
なんでそげんこと言うと?


……コウは。



「……コウは、なんもわかってくれんね」



我慢していたはずの涙はいつの間にか私の頬を伝う。



< 7 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop