キミと初恋、はじめます。
◇
「……で、あの翔空?さすがに、ここ職員室だから、手離してくれる?」
「嫌だ」
なにこのワガママ。
まるで小さい子が好き嫌いして、グリーンピースを食べるのを嫌がるみたいな……。
職員室の前で、いつまで経っても入れずにいるとガラッと向こうから開けられた。
「お、なんだ?」
職員室から出てきた体格のいい男の先生は、あたしと翔空、なっちゃんと渋矢くんを交互に見てニヤリと笑った。
「青春してるなぁ、お前ら」
せ、せいしゅん……!?
目を瞬かせたあたしに、翔空がすかさず後ろから抱きついてきた。
「……っ…」
「でしょー?センセー、シキの担任いる?」
え、あれもしかして、手っ取り早く済まそうとか思ってたりするの?
っていうか、それより!
人がいる前で……しかも先生の前でこんな抱きつかれたら、心臓が壊れる……!