キミと初恋、はじめます。




「……で、あの翔空?さすがに、ここ職員室だから、手離してくれる?」


「嫌だ」



なにこのワガママ。


まるで小さい子が好き嫌いして、グリーンピースを食べるのを嫌がるみたいな……。


職員室の前で、いつまで経っても入れずにいるとガラッと向こうから開けられた。



「お、なんだ?」


職員室から出てきた体格のいい男の先生は、あたしと翔空、なっちゃんと渋矢くんを交互に見てニヤリと笑った。



「青春してるなぁ、お前ら」



せ、せいしゅん……!?


目を瞬かせたあたしに、翔空がすかさず後ろから抱きついてきた。



「……っ…」


「でしょー?センセー、シキの担任いる?」



え、あれもしかして、手っ取り早く済まそうとか思ってたりするの?


っていうか、それより!

人がいる前で……しかも先生の前でこんな抱きつかれたら、心臓が壊れる……!
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