今、2つの色で


あんなに離してくれなかった逢坂に、急に何があったのかと少し驚きながら、あたしはその手で逢坂を指差す。


逢坂の目を目の間に、あたしの人差し指が伸びて。


「あたしはそんな軽い恋愛するほど暇じゃありません、ほかをお探しください」


そのままそう言い放ったあたしは、その場からそっと離れる。


机に置きっぱなしにしていた鞄を持って、上着を着た。


「さよーならっ」


そのままその教室を出ていこうと一歩を踏み出すと、逢坂の声が耳を通った。

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