今、2つの色で


電気がついていない教室の中に明るさを灯すのには、外から照らすオレンジ色の光と、雪の白さだけで十分だった。


「いや、俺猫舌だから」


逢坂は窓の外を見つめながら、つぶやく。


「猫舌…」


曖昧に、その言葉を繰り返すあたし。


猫舌って、熱い食べ物や飲み物が苦手な人のこと。


怖いものがなさそうな逢坂なのに、猫舌って。


「なんか似合わなっ」


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