今、2つの色で


相手の喜ぶ顔が見たくて、相手を幸せにしたくて努力することが。


その努力が利用されてしまうなんて、人間は残酷だ。


あたしは何度吐いたか分からないため息を吐いて、そっと窓の外を見つめる。


だからこの雪のように、白くて真っ直ぐな存在はあたしの憧れ。


でもきっと、そんな雪のようなものはあたしの世界には存在しなくて。


どんな意味でも真っ直ぐにあたしを見てくれる人って、いないのかもしれない。


あたしはつい伏し目がちになって、寂しさのような感情に唇を噛んだ。


逢坂が、あたしを見ているのが分かった。

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