今、2つの色で


両手をポケットに入れて。


ただ、しゃがみこむあたしを見下ろしている。


――逢坂だった。


泣いているところ、見られた。


あたしはカーディガンの裾で慌てて涙を拭うと、すぐに立ち上がってまた背中を向けた。


「…知ってるよ」


精一杯振り絞ったその声は小さいボリュームでしか出せなくて、あたしはそのまま俯く。


逢坂が、何故あたしと駿が付き合っていることを知っているのかも。


何故、駿が浮気男だと知っているのかも。


何故、今あたしがここで泣いていることを知っているのかも――。

< 86 / 500 >

この作品をシェア

pagetop