愛しのカレはV(ヴィジュアル)系




(わぁ…可愛い!!)



気が付けば、かごはいっぱいになっていた。
駅前には大きなショッピングセンターがあって…事務所のキッチンで使うスポンジとか、調理小物を収納するものをちょっと買いたくて寄ってみたら、百均があって…
それがうちの近くの百均とは違って、なんていうかすっごく可愛いものや百均とは思えないようなものが多いから、気に入ったものをどんどんかごに放り込んでたら、いつの間にかいっぱいになっていたってわけ。



(あぁ、楽しかった。
ママはあの百均のこと、知ってるのかな?あ…)



一階に降りてきたら、フードコートみたいなところがあった。
ちょうどお腹もすいて来たし…そうだ、なにか食べて帰ろう。
見てみると、ハンバーガーやオムライス、ラーメンにお寿司と…いろいろあった。
あんまりお腹いっぱいになったら夕飯に響くからちょっとだけ…



(あ、ミニラーメンがある!わ、安いじゃない!
それにソフトクリームもある!
ここにしようっと。)



私は、ラーメン屋さんの傍に席を取った。
どうやら、ここはすべてセルフみたい。
荷物多いけど…置いてても大丈夫かな?
それとも、やっぱり持っていかなきゃまずい?
こんな時、ひとりって不便だよねぇ…
……と、思った時のことだった。



「……あれぇ?」



遠慮がちな男性の声に顔を上げると…
そこにはキースさんがいた。



「キ、キースさん!」

「僕のこと知ってるってことは、やっぱりヅラちゃんやな。
いやぁ、いつもとはかなり雰囲気ちゃうから、一瞬わからんかったわ。」

「え…?」



そ、そうだ…
私ったら、今はヴィジュっ子の璃愛じゃなくて、ふだんの望結なんだ。
化粧もしてなきゃ、服装も気が抜けてて、こんな大きなレジ袋持って…



(や、やだーーーー!)



私は全身から血が引いていくような、激しいショックを受けた。
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