愛しのカレはV(ヴィジュアル)系




「じゃあ、私が先に送るね。」

電車の中で、さゆみはLINEのグループトークに投稿した。



『お疲れ様です。今日は本当に楽しかったです。どうもありがとうございました。』



「あんたも何か送りなよ。」

「う、うん。」



『お疲れ様です。今日は迷惑かけて本当にごめんなさい。』



しばらくすると、頂上で四人で撮った画像がキースさんから送られて来た。



「わぁ、これ、保存しなきゃ!」

「私…白目むいてる…」

「え?あ、本当だ!」

さゆみはそれを見てケラケラ笑う。



「タイミング悪かったね。」

「……うん。」

やだな、私…何でこんな顔……



「それにしても、あんた…本当に運が良いよね…」

「え?何が?」

「だって、こんな時にあんなひどい靴擦れになるなんてさ。」

「え…?」

「なんか、ちょっとジェラシー感じちゃったよ。
私もリクにおんぶしてもらいたかった。」

「そんな…私、すっごく恥ずかしかったんだよ。」

「でも、なかなかいないよ。
メンバーにおんぶしてもらえる子なんてさ。」

「……そんな……」

なんかちょっとショック。
さゆみがそんなこと考えてたなんて…



「……ごめん。
でも、私…リクには本気で頑張るつもりだし。」

「私、リクさんのことなんて何も…」

「わかってるよ。
……それでも、好きな人が他の子にやさしくしてる姿を見たら、気になるもんなんだよ。」



そうだよね…さゆみはリクさんに本気で頑張るつもりなんだもん。
私がおんぶされてる姿を見たら、いやな気分になるのは当然だよね。
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