後ろの席はちびの速水くん
ばいばい


あれは確か...1ヶ月以上前のこと。



「なんで泣くの」



「ひっ、」



そう言って駿(しゅん)くんはあたしの涙を拭く。



だけどもう、



終わりなんだ。



こうやって涙拭かれるの、これで何回目かな。



これが最後。



「あのね...、」



「ん?」



うまく言えなかった。



けど、あたしは頑張った。



今までずっと、頑張ってきたんだ。



「もう...ばいばいしよう...」



出逢いがあれば別れもある。



だけど駿くんとなら、別れなんてないって思ってた。



「うん」



ほら、やっぱり駿くんはそれを臨んでいたんだ。



別れを告げる方も辛い。



涙がたくさん出てくる。



今日で最後。



明日からちゃんと戻るから。



「泣くなって。強くなれねーよ?」



「泣いてないもん」



「泣いてんじゃん」



「...」



「夢に向かって頑張れよ」



「...うん、色々...振り回してごめんね」



「いや」



その後の事なんて記憶にない。



悲しくて悲しくて、



別れを告げたあたしが一番泣いた。



というよりも駿くんは涙ひとつ出さなかった。

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