悪いキス


「…りん先輩が……」

風が吹き抜ける、肩にこもる力がいっそう伝わってくる

わたしは瞳を閉じて告げる

「りん先輩のことがす…」

すると突然、タイミングよく携帯電話の着信音が鳴り響いた

それでも一倫はわたしを見つめていたが、瞳を逸らせて携帯電話に出る

何しろこの着信音は大航だと分かっていたから

「ごめんなさい、電話に出なきゃ」

一倫は落胆した様子を見せると肩から手を離した


< 94 / 415 >

この作品をシェア

pagetop