ディスペア
(4)~包み隠さず話す~
「どうせ優人も、私を裏切るんでしょ!」

そう言うと、彼は下唇を噛んだ。
そして、私の目を見てはっきりと言った。

「僕は君を裏切らない!!」

私はびっくりして彼を見つめた。
そんな私の瞳は次第にぬれて、まばたきすると、涙が頬をつたった。

あぁ、私はずっとこれを待ってたんだな、そう思った。
ずっとこれを言ってほしかったんだな…と。

 そのあと、彼は私の涙が止まるまでずっとそばに居てくれた。
それが嬉しかった。
 結局帰るのはいつもより遅くなってしまって、空は赤くなっていた。



 優人とあってから3ヶ月と少したった。

《ピンポーン、ピンポーン》

午前10時のインターホン。
誰だろう、と疑問を胸にドアを開ける。

「麻彩ちゃん、こんにちは!」

そこにいたのは、優人だった。

「え………え!?」

私が事態を呑み込めずにいると、彼がそれをみはからって口を開いた。

「今日から僕ら、夏休みだよ?」

あぁ、そういえば。

というか……『僕ら』か………

私も含まれてるんだ……
学校なんてまともに通ってないのに………
麻彩はそれが嬉しかった。
そんな些細な言葉にも、彼の優しさがこもっている。
だから私は、そんな彼の言葉が好きだった。


「せっかくだから上がって行かない?」

そう聞くと、彼は喜んでついてきた。
彼がここにいると、ずっと空気が重くて居心地が悪かったこの部屋にも、暖かい空気が流れる。

不思議な人だなと思った。
……好きだなって思った。

 それから、彼は毎日家に遊びに来た。
毎日会っていても話は尽きない。
彼がそばにいるだけで、安心できる。
私の瞳に光が宿るのが感じられた。
自然な姿でいられる。
彼とならずっと一緒にいてもいいなと思った。

ずっと一緒にいたいと思った。



 風が冷たい季節になった。
辺りがキラキラ輝やいている。
12月、もう彼と出会って8ヶ月。
今日も隣に彼がいる。

「ツリーおっきいねー!」

「うん!」

私はきっと、前より明るくなった。
世界が鮮やかに見えるようになった。
それもこれも、彼のおかげなんだな~としみじみと思った。

 今日、終業式が終わった彼はそのまま私に会いに来た。
そして、学校であったことを話してくれる。
そう、彼はいつも学校であったことや、自分の失敗談まで包み隠さず話してくれる。

だから私も、全てを彼に話さなければならない。

私が母を殺したことを………

話すなら今じゃない?
彼ならきっと、しっかり受け止めてくれる。
そう思った。

  話そう、全部
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