永遠dream
「他は？」

「記憶を消すってどうゆうこと？」

「僕らが血を吸いすぎると、人間は貧血で倒れるよね。ヴァンパイアは人間の記憶を消す力を持ってるから、眠ってる間に記憶を消す。だから僕達に関する確かな情報を持ってる人はなかなかいないんだ。」

そっか、じゃあ本当は私も記憶を消されてるはずだったんだね。
もしそうなっていれば私は何も知らないまま平和に過ごしていただろう。

そうなるのが正しいんだろうな。
でも、それじゃあ私とレイさんが出会ったことだって忘れてしまう。

私は何故か嫌だと思った。

きっとそれはレイさんが私の血を吸ったときの縋るような指先を知ってしまったから。

レイさんの悲しそうな瞳を見てしまったから。

そしてそれに、気づいてしまったから。

今までたくさんの人の記憶を消したのだろう。
自分に関する記憶を。

でも、だって、じゃあ･･･

「･･････今までずっと独りで･･････」

そう言葉をかけると同時に私の目から涙がこぼれた。

「え？あれ？なんで泣いてるんだろう。やだ、どうしよ･･････」

それはどんなに寂しかっただろうか。
もう、寂しい思いをさせたくないと思った。

だって、独りは辛いでしょう？

「･･････俺のために泣いてくれるのか？」

さっきと口調が違う。
でも、さっきよりも優しい響きだ。

私は初めて、レイさんの心に触れた気がした。

私は慌てて涙を拭った。

「･･････ありがとう。」

レイさんはそう言って優しく笑った。

私は彼の目からたった一筋、涙が落ちるのを見た。



透明で、綺麗な涙だった。
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