永遠dream

⑤〜闇の策略〜

「レイさ・・・・・・」

私たちは引き裂かれるように自分の席に案内された。
レイはヴァンパイア席、私はハンター席に。

そういうことなんだろう。

ハンターの血筋は俺らのものだと、ヴァンパイアとは相塗れないと・・・

空っぽの心でそれをレイに見せつけてる。
会場の空気がレイを嘲笑っていた。
それに気づいていながらも、レイは無関心そうに振舞う。

悔しかった。

ハンターの人間は何をしているのだろう。
レイはこんなにも気持ちを抑えて従っているというのに。
真の平和を、共存を望んでいるというのに。

私は服の裾をぎゅっと握った。

泣きそうになったそのとき、レイに言われた約束を思い出す。

悲しい時、悔しい時、不安な時・・・・・・何かあったらまず深呼吸しろ。

そう言って優しく笑ったレイの顔を・・・

私は大きく息を吸い、ゆっくりと吐いた。

頭にすっと風が通り、自分の命の音が穏やかになる。
頭が冷えて、体の力が抜ける。

そのおかげで私は気持ちを切り替えることが出来た。

私がするべきことは・・・・・・?

そういえば私は何も聞かされていない。

「ねぇ、私は何をすればいいの?」

私は可憐さんの服を軽く引っ張ると、小声で聞いた。

「本日は傍聴のみでよろしいかと。」

彼女は一切表情を変えないまま答えた。
いつも通りなそこに安心を覚える。

「うん。わかった。」

席順も一番端。
よくよく考えたら何もするなと言われているようなものだった。

それに、そう言われるのは仕方がない。
私はこの世界の知識が少なすぎる。
この世界じゃ私なんて赤ん坊とそう変わらないのだ。
そんな人の話に耳を傾けてくれる人なんていないだろう。


私は改めて自分の無力さを知った。
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