君じゃなきゃ
君じゃなきゃ ⭐ 真沙side
今日も拓海から呼び出しがあった。

仕事を終えた私はいつものように馴染みのバーへ向かった。

今日もまた、別れるとか別れないとか面倒臭い話を聞かされるんだろうな……笑。

呼び出されるのが嬉しい反面、いつまでこの関係が続くのかと言う不安がいつも私の心をざわつかせる。





そう、私を呼び出した男、一之瀬拓海(いちのせ たくみ)は高校からの同級生で今は飲み友達。
もう27歳になるから、卒業してかれこれ9年近くこんな関係が続いている。

拓海は女癖が悪く、二股三股なんかやってるから毎度毎度トラブルになる。そういうトラブルが発生したときに私を呼び出し、あーだこーだ愚痴とも取れる、相談?とも取れる話をしてくる。
それを聞いてあげるのが私の役目……?になっている。


拓海は高校時代からスラッとした高身長に、甘いマスク。運動も勉強も出来て、みんなに優しくそれでいて口がうまいときたもんだから、女子にモテモテだった。

拓海も来るもの拒まずって感じで、いったい何人の女子をモノにして来たのか…………。



書く言う私も拓海の隠れファンだった。



そんな私はと言うと、意外と背が高くスラッとした体形で、ひときわ目立つ存在だった。そのうえ、クラス委員長なんか毎年選ばれる、いわゆる出来る女子だった。
かといって、甘ったるい女子ではなくいつもショートヘアがトレードマークの運動部で活躍するボーイッシュな女子だった。

何でも出来てカッコいい!、って、女子にはモテていた気がする……。




拓海も毎年、クラス委員長に選ばれる人気者。

だから、私と拓海は自然と一緒にいることが多かった。

私は拓海と一緒にいるときドキドキしっぱなしで、この心臓の音が拓海に聞かれないかと必死で平静を装っていた。そんなドキドキも楽しい時間だった。



とにかく普通に話す努力をし続けた。



そして、その恋心は誰にも話したことがない。

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