強引なキスで酔わせて【完結】~二人のその後 更新中
初体験
白と茶色を基調とした部屋は、必要最低限のモノしか置かれておらず、私の部屋より幾分か広く感じる奏汰の部屋。
隣同士の部屋は間取りは全く同じ。
けど、家具の量と配置だけで、これだけも感じが違うものかと、奏汰の部屋を見渡す。


奏汰が隣に引っ越して来てから、奏汰の部屋に入ったことがなかった。
否、入りたくなかった。
いつも違う女を連れ込むその部屋に、入りたいと思わなかった。


「楓は紅茶でいいよね?桐島さんは?」


その奏汰の部屋に、凌さんと対峙する形で、リビングのテーブルの前に座る。


数分前、奏汰の計らいで、奏汰の部屋で凌さんと話し合うことになった。
私の前には温かい紅茶、凌さんの前には同じく温かいコーヒーが置かれた。



「俺が居ちゃ話し辛い?けど、俺の当事者の一人なんだけどなぁ。」


奏汰が茶化すように話し出し、凌さんが険しい顔で奏汰に詰め寄った。


「どうしてお前が当事者なんだ?」
「あれ?聞いてないの、桐島さん?」
「何のことだ?」


それまで奏汰へ鋭く向けられていた凌さんの視線が、私へと移って来た。




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