強引なキスで酔わせて【完結】~二人のその後 更新中
マンション前
マンション前、エントランスの外、見知った人影がそこにあった。


車は車寄せに滑るように入り、ゆっくりと止まった。



「幼馴染が心配して・・・か?」


桐島部長は奏汰のことは知らない。
けど、そこに佇む人影が、奏汰だと察したんだろう。


「深月。また明日。」


車の時計は午前2時を示していた。
グイと、肩を引かれたと思ったら、私の唇は桐島部長のそれに重なってた。


奏汰が見てる。


私は咄嗟に、桐島部長の胸を押し返し、転がるように、車から降りた。
車はゆっくりと、発進した。
と、同時に私の背後に私を見下ろす気配を感じた。



「おかえり、楓。今の誰?」
「ぶ、部長・・・」
「楓、部長さんと付き合ってたの?」
「・・・・・・・ううん。」
「だよね?じゃ、どうして、キス、してたの?」



奏汰の声が地を這うようなくらい低いものになった。


「してないよっ!!奏汰の見間違えじゃないの?」


私は咄嗟に嘘を吐いた。


「そう?俺にはしてたように見えたよ、キス。」
「しないよ、付き合ってもない人と。私は奏汰とは違うよ。」


そう言い放って私は踵を翻し、エントランスホールへと足を運んだ。



< 8 / 84 >

この作品をシェア

pagetop