翼をなくした天使達


廊下に響く始業のチャイム。

私の足は教室ではなく奴を探す為にグルグルと歩き回っていた。


「ちょっと蒼井いまどこ!?学校に来てるの?」

非常階段、屋上と見てみたけど蒼井はどこにもいない。仕方なく電話をすると無言でそれは繋がった。

「なんか用?」

昨日の気分をまだ引きずってるのか声が明らかに不機嫌だった。

「聞きたい事があるの。今どこ?」
「………」
「どこ?」

「体育館裏」

私はすぐに電話を切ってその場所へと走った。

体育館裏は涼しくて穴場だけど虫が多くて私は滅多に行かない。着くと蒼井はこっちに見向きもせずにスマホをカチカチといじっていた。

蒼井ってクールでたまにまともな事言うし私より大人だって思ってたけど、最近は私よりガキなんじゃないかって思う。

すぐ顔に出るし短気だし、なにより私と目を合わせないところが拗ねてる子供みたい。


「さっき聞いたんだけど蒼井って昨日いた保坂って人と揉めた事あるんだってね?」

揉めたというより殴りかかった蒼井を先生が止めたらしいけど理由もなく喧嘩を売る人じゃない。

「1年前に起きた事件と関係があるんでしょ?」

今回と同じ事件があった事、
蒼井が停学処分を受けた事、
そして保坂に殴りかかった事、

それは全部同時期できっと全部繋がっている。


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