翼をなくした天使達



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その日の放課後、私の足は自然と裏庭に向かっていた。あれから忙しくて見に来てなかったけど植えた花がどうなったか気になったからだ。

するとそこには先客がいて勿論それは橋本さんだった。

「紺野さん。私も今来たんだけどちょっとここ見て」

橋本さんが嬉しそうに指さす先には小さな芽。
生まれたての青々とした芽はすごい綺麗に見えた。

「花はいつ頃咲くかな?」

「うーん、気候にもよるけど梅雨前にはきっと咲くと思うよ」

………梅雨前か。

考えた事なかったけど私っていつまでここにいられるのかな?私が居なくなったらこの世界も同時に消えるんだろうか。

それが寂しいと感じてしまうって事は、私はきっとここの環境や生活に慣れてきてしまったんだと思う。

だって色々な事があったけど現実と比べるとここは天国で、やっと笑えたのもやっと素直になれたのもこの世界だった。

「ねぇ、橋本さん」

きっと今から言う事に意味なんてなくて、ただ自分の気持ちを晴らしたいだけかもしれない。

でも後で言っておけば良かったって後悔はしたくないから。


「前に辛い事があったって言ったでしょ?私ね、
いじめられてる人を助けて自分がいじめられた事があるの。だからずっとなんであんな事しちゃったんだろうって思ってたし、私をいじめた人を恨んでた」


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