翼をなくした天使達
次の日、美保と目を覚ましてまた慣れない朝食を一緒に作った。同じタイミングでアクビをして甘めのカフェオレを同時に飲む。
…………こんな朝っていいな。
「あかり。昨日は赤裸々に色んな事語り合ったけどまだ聞いてない事思い出した」
「ん?」
「蒼井翔也の事どう思ってるの?」
────!!
思わずカフェオレが口から出そうになった。
な、なんでいきなりあいつの名前が出てくるの?
「あかりが裏で蒼井と会ったり話してるのは知ってたよ。事件の時も蒼井を必死で庇ってたし好きなの?」
「す、好きじゃないよ!」
声が裏返ったのはたまたまだ。
「本当に?」
「う、うん…」
「本当に本当?」
「…………」
最初は大嫌いだったけど今は嫌いじゃない。それが美保の言っている好きに当てはまるかは別として。
「私前に蒼井の事イヤな奴とか最低とか言っちゃったけど、あの時正直どう思った?」
「ど、どうって……」
「ムッとしなかった?」
それはしたよ。蒼井の事よく知りもしないで決め付けないで欲しいって。でもそれは友情ってゆーか秘密の共有をしてる者同士だからそう思ったわけで……
「じゃ、あかり約束。もしこれから好きだって自覚する時が来たら絶対にそれを否定しちゃ駄目だよ」
美保はそっと小指を差し出した。
「………分かった」
その〝これから゛がいつなのか、果たして来るのかさえ分からないけど自分の気持ちには正直でいる。
それは約束する。