翼をなくした天使達
そのあと病院の先生や看護師が病室に入ってきて、脳に異常がないか簡単な質問をされた。
質問に答えていく内にだんだんと頭がしっかりしてきて、私は重たい体をベッドから起こした。
「あかり、まだダメよ」
「ちょっとなら平気だから」
頭には白い包帯が巻かれて腕には軽い擦り傷があったけど、足も手も首も顔も動かす事が出来た。
「紺野さん、どうして自分がここにいるか分かる?」
年老いた先生が優しく聞いてきた。
「分かります。学校の屋上から飛び降りました」
それを言うとお母さんはまた声を出して泣いた。
カウンセリングの先生を紹介すると言われたけど、私はそれよりも気になる事がある。
「あの、私の他にもうひとり居ましたよね?
えっと、髪は明るくてピアスをしてて背の高い同級生の男の子。名前は蒼井翔也です」
あのあと蒼井がどうなったかは知らない。
でも同じタイミングであの世界に行ったのなら、
戻るタイミングも一緒でもいいはず。ここは個室みたいだし別の部屋とか?
あいつの事だから平気な顔してもう歩いてたりして。
「あぁ……彼は……」
「………え?」