翼をなくした天使達

●月曜日の朝




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



週明けの学校。これからまた1週間が始まる月曜の朝はみんな少しだけテンションが低い。

「今日の1時限目は自習の予定だったけど急遽クラス学級の時間にします」

濱田先生の言葉にみんなは大ブーイング。

特にその自習の時間に化粧をしようとしていたスッピン女子は尚更。自習=授業じゃないって感覚だから文句が止まらない。

「クラス学級とか行事ごとでもないのになんでやるんですか?」

「むしろ4時限目の先生の英語の授業潰してやろうよ」

すると先生は珍しく怖い顔をして黒板に大きく文字を書いた。それを見た瞬間、ドキッ!と胸が跳ね上がる。


〝いじめについて゛

ざわざわし始める教室。先生は白い紙を取り出して1枚づつみんなに配った。

「それはアンケート用紙だ。手書きだから醜いかもしれないけど各々正直に書いて欲しい」

無記名のアンケート用紙。

それにはシンプルな質問がいくつか書かれていた。


〝クラスでいじめはありますか?゛
〝目撃したことはありますか?゛
〝上記にあると答えた人はどこでそれを目撃しましたか?゛

そんな内容が続いて最後は

〝いじめられてる、もしくはいじめている人を知っていますか?名前を書きづらい場合は先生に直接教えて下さい。尚、このアンケートの内容や回答は絶対に誰にも教えません゛

どこからかシャーペンの音がするけど誰が何を書いてるかは分からない。もう書き終わって寝てる人も居るしみんなチラチラと周りが気になるようだ。

こんな状況で本当の事なんて書く人いるのかな。

橋本さんや沙織や美保が気になるけどあんまり顔が上げられない。だって………

────「先生、クラスでいじめがあります。
なんとかしてその子を助けてください」

そう濱田先生に言ったのは私なのだから……


< 78 / 196 >

この作品をシェア

pagetop