保健室の先生と私。



この香水の匂い。抱きしめる力加減。


当てはまるのは山田先生……。



「雨の屋上なんかに来て、つまんなくないの?」



耳元で囁かれる。


やっぱり。それは先生の声で。


ほっとしたせいか、また涙が目元に溜まる。



「…悪いですか。」



強く言いたいのに、声が震える…。



「なに震えた声で強がってんの。素直になれよ」

「先生のせいでしょ!?素直になれないのは…」



あんな怒った表情見たら、誰も素直になれない。


ただただ自分を責めるだけ。



「さっきは怒鳴って悪かった。…許して?」

「…っ!」



そんな甘ったるい声で、背中にスリスリしないでよ…。


許しちゃうに決まってるじゃん…。


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