ばくだん凛ちゃん
「凛、大丈夫なのかな…」

ハルは建物の出入り口を出てから何度も振り返っていた。

「まあ…何かあれば連絡あると思うよ」

それしか言えないし、実際その通りなのだろう。

「凛があんなに泣くとは思わなかった」

確かに泣き声は普段から人一倍大きい。
ハルから離れる恐怖が更に声を大きくしたようだった。

「ハル、最初は仕方ないよ」

そう言ってみるものの、ハルの不安そうな顔が僕までも不安にさせそうだ。



慣れているはずなのに。



子供が泣く事も、病院では日常茶飯だし入院して隔離しないといけない子なんかは親から引き離す。

だからわかっているはずなんだけど、いざ自分の子となると駄目だね。
感情が入りすぎてしまう。

ハルを何とかなだめて病院へ。

兄さんは

「保育園の洗礼、受けて来たんだね」

とニヤニヤ笑う。

「まあ仕方ないよね」

僕はため息混じりに言うと更衣室に向かった。

凛、ずっと泣きっぱなしになるんじゃないだろうね。

…途中、お迎えに行かなければならないかもね。
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