100万回の祈りをキミに



「私も夏井に言いたいことがある。亜紀とただの先輩後輩だなんて嘘でしょ。本当は私のこと亜紀から色々聞いてて、夏井はずっと知らないふりして私に接してたんでしょ?」


人づてに聞いたとか、練習中に誰かが言ってたとか嘘ついて。私が信用してペラペラと亜紀のことを話してた時、本当は歯がゆくて仕方なかったんでしょ?

最初から夏井が亜紀と親しかったって知ってたら、私は絶対近づかなかった。

だって心を探られたくなんてないから。


「……俺だって何度も本当のこと言おうと思ったよ。でもタイミング的に今じゃないとか、言ったら余計なことも思い出させるんじゃねーかとか色々考えて」

「………」

「だからお盆に一緒に先輩のところ行かねーかって誘おうとした。まぁ、それも失敗したけど」

言われてみれば、みんなで花火をした時。夏井は私に話があるって言ってたけど、まさかそのことだったなんて……。


夏井は夏井なりに打ち明けようとしていたのかもしれない。

だけど、夏井に対して苦手意識を作った原因は私じゃない。


「夏井って本当はウジウジしてる私のことなんて最初から呆れて嫌いでしょ?」

「は?」

「だって最初の親睦会の時もいきなり私に失礼なこと言って突っ掛かってきてじゃん。だから嫌いだったんだろうなって」

そう、あの瞬間から私は夏井が苦手になったんだ。

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