100万回の祈りをキミに


俺でさえも病気を知って、先輩と気丈に話すのが苦しい日もあるのに。

一体彼女はどれほどの悲しみを乗り越えなければいけないんだろう。

こんな小さな体で。

どれだけの涙を流せばいいんだろうか。


「……ん……」

その時、彼女の手が動いてもうすぐ目を覚ましそうだ。


「あ、先輩。俺今日は帰ります。彼女との水入らず邪魔したくないし」

「そんなの気にしなくていいよ。波瑠にもよく健人のこと話してるんだ。だから紹介……」

「いや、いいっすよ。俺がいたらエロいことできないでしょ?」

「まったく、お前は」


俺はまたバカなことを言って彼女が起きる前に病室をでた。


俺と彼女の関係なんて、無関係のままでいい。

先輩は死なないから。俺が死なせないから。


外に出るとまだ雪が降っていた。

灰色の空からまるで誰かの涙みたいに俺の頬をつたっていく。


俺の願いはただひとつ。

離ればなれにならないように、
幸せでいられるように、

あのふたりがずっと一緒にいられますように。

そう俺は空に100万回祈った。

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