100万回の祈りをキミに

・真夏の花火





――キーンコーンカーンコーン。

校内に1学期最後のチャイムが鳴り響いた。


「夏休みはハメを外しすぎないように楽しめよ。あと出された課題はちゃんとサボらずやるように!」


教卓の前に立つ早坂先生がそう言って、ホームルームが終わった。

ガヤガヤとうるさい教室ではみんなもう夏休みモードで、明日からなにをしようと遊びの計画に夢中だ。


「藍沢」

私も別に楽しみにしていないわけじゃない。学校は暑いし炎天下の登下校もツラいし、それをしなくて済むと思えば多少気持ちも軽い。


「おい、藍沢!」

強く肩を叩かれて夏井を睨んだ。


朝登校してきた時も終業式で列に並んでる時も夏井の呼びかけは聞こえていた。だけどその口から出てくる言葉は分かってるし、シカトするのが一番ラクな方法だった。


「連絡先だよ!連・絡・先!」

でた。うざい強調。


「あー明日ね」

断っても断ってもしつこいから、教える気もないのにこの言葉でずっと誤魔化していた。


「は?ふざけんな。お前明日って夏休みじゃん」

今日は猛暑日で暑いのに夏井の声を聞いてるだけで、余計に頭が痛くなる。

早く帰ってアイスが食べたい。

そして早く夏井と会わなくて済むようになりたい。

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