食わずぎらいがなおったら。

もう、なんなの。

こんな風に言うつもりなかったのに。どうするのこれ。

とにかくあの人達から離れたくて、服を引っ張ったままずんずん歩く。




服をつかんでいた手首を、大きな手でつかまれた。

びくっとして立ち止まる。

「どこ行くの」

「別に」

「急いでるんでしょ」

そんなの言い訳ってわかってるくせに、意地が悪い。

なによ、その冷静な声。こっちはもう、どうしていいかわかんないのに。

赤くなってるのを見られたくなくてうつむく。なんか言ってよ。




「聞いてないよね、俺」

「うん」

「他のやつってオチじゃないよね」

「ないよ」

そんなわけないでしょ、わかってるくせに。他のやつって誰よ。






はあ、とため息をつかれた。

それ? 私に好きって言われてその態度?

今さらうざいとかそういうこと?




「腹減ったな」

唐突に言われた。そうか、もうお昼かな。

「なんか食べに行く?」

と顔を上げて聞いてあげる。

もうこの話は終わりってことね、それならそれでいいよ。

別に期待してたわけじゃないけど、もうちょっとなんか言ってくれてもいいのに。



「ここ混んでるから、別のとこ行こう」

というなり手を引かれる。

だから、何の気なしに手を繋ぐのやめてくれないかな。

好きなんだからいいだろとか、そういうの?なんなのよ。
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