せめて、もう一度だけ
変わってゆく
「いってきます」


「いってらっしゃい」


朝の7:45に、夫・諒(りょう)を送り出す。


諒は、医薬品メーカーに勤める35歳。


真面目で誠実で優しくて。


社内恋愛を2年して、4年前に結婚した。


何不自由なく暮らしているし、幸せなんだろうって思う。


でも、平凡な生活には4年で飽きてしまった。


諒を送り出したあとは、洗濯・掃除・買い物・食事の仕度。


一年365日、ほぼその繰り返しだった。


結婚のきっかけは、諒がいま住む街の支店へ転勤になったこと。


昇進したのだから喜ぶべきなんだろうけど、知り合いが一人もいない場所へ行くのは不安だった。


だからといって、諒と別れる理由にはならなかった。


私、松永美希子(まつながみきこ)はプロポーズに応じ、退職してこの街へ引っ越した。


そのうち子どもができて、暇なんてなくなってしまうと思っていた。







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