せめて、もう一度だけ
「そうだよね、今さらだよね。


ごめんなさい、それじゃ」


私はそれだけ言うと、玄関へ向かって歩いた。



やっぱり、遼くんは受け入れてくれなかった。


当たり前だ、遼くんを傷つけたのは、この私なんだから。


面倒なことに巻きこむようなことは、しちゃいけない。


とりあえず、実家へ連絡しよう。


正直に打ち明けて、許してもらおう。



その時、一瞬目の前が暗くなったかと思うと、その場で倒れてしまった。


「ミキ!」


遼くんの声が聞こえた気がする。


でも、まぶたが重くて開けられない。


おかしいな、なんだか体に力が入らない。


だけど、ふわふわした心地いい感じがする。


懐かしくて、落ち着く感触。





< 94 / 109 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop