ビター・アンド・スイート

アフタークリスマス。

12月の洋菓子店は忙しい。
(まあ、和菓子店もお歳暮で忙しいけど。)
人気のgâteau kazamaは12月はフル回転で、風間さんも、
エリアマネージャーに加え、山下店を任されているリョウも
休みを取るなんてことは、考えてもいないみたいだ。
新しい山下店は売り上げが好調で、
私も三吉屋に出ない日は手伝いにいったりして、
私達は忙しく、充実した日々を送った。

12月の終わり、クリスマスがすっかり終わった28日。
やっと、リョウは2連休をとる予定で、
みなとみらいのホテルに予約を入れ、
私を連れて泊まることにしたみたいだ。

「疲れたー。」と部屋に入った途端にリョウは私をベットに押し倒し、
好きなだけ抱き合って、ルームサービスで贅沢に食事をし、
シャンパンを開けて、乾杯し、少し酔った私を
また、ベットに連れ込んで、お互いの体にいくつも印をつけあった後、
やっと明け方に眠りについた。
お昼過ぎに目を覚まし、シャワーを浴びて、ベットに戻って、
のんびり話をしたり、また抱き合ったりして過ごした。
やれやれ。
「新婚だし、いくらでも抱き合っていいでしょ。」とリョウはにっこり笑って、
私を抱き寄せる。
私もくちづけを受けながら、くつろいでベットで過ごした。
クリスマスプレゼントに私はプラチナの少し凝ったデザインの
ネクタイピンとカフスボタンを贈り、
リョウにパールを使った美しい帯留めをもらった。
(相変わらず、高級品だ。このあいだ、銀行の家族カードを何枚か渡されたけど、
見たことのない額が通帳に印刷されていた。リョウはお金持ちだ。
好きに使って良いって言われても、ちょっと困る。)

リョウは朝、夕にメールや電話で少しだけ仕事をしたけど、
私は家のことも、仕事のことも、何も考えず、
リョウと抱き合って過ごすのは初めてだったかもしれない。
私達は愛してる。
と甘い言葉だけを口にして、
短いハネムーンのような2日間を過ごした。



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