ビター・アンド・スイート
「親戚ににしつこく奨めれれて私はお見合いした後、直ぐに断ったわ。
でも、睦月君は1回会っただけで断られるなんて心外だ。
って言って、何度も私に会いに来た。
私は仕方なく、自分の身体の事を話したわ。
でも、それで?ってあっけらかんと言われて、
スズカさんが子どもが欲しければ一緒に努力しよう。って言ってくれたの。
私はもう、結婚は諦めていたから、すごく驚いて、
三吉屋の跡取りは要らないんですか?って聞いたら、
僕はあなたが好きだから、あなたと結婚したいだけです。
子どもはさずかりものだから、
出来なければ、そう受け止めてふたりで生きて行きたい。
って言ってくれて、私の手を握ってくれた。

跡取りは職人の中で才能のあるヤツがなればいいよ。
僕はお試しで三吉屋を継いでいるけど、
どうしても和菓子職人として、才能がなければ
他の職人に三吉屋に養子に入ってもらうっておやじに約束させて、
家の仕事を始めたんだ。
と笑った。
まあ、和菓子屋の経営者っていうのに変わりはないから、
そんなに贅沢はさせてあげられないけれど、
きっと、僕はずっとスズカさんが好きだよ。約束する。ってニコニコしてくれた。

私はそう言ってくれた睦月君が好きになって、
睦月君の子どもが欲しいって、そうおもった。
一緒に頑張ってみようって。
結婚する前から一緒に不妊治療をして、去年、子どもを授かった。
今、とても幸せよ。
好きな人の子供を持つ事ができた。
でも、授からなかったとしても幸せだったと思う。
ありのままの私を睦月君は愛してくれたから。
ハヅキちゃん。もし、子どもが出来にくい身体だってわかったとしても、
子どもが欲しいなら、
直ぐに諦めてしまわないでね。
シロタさんと一緒に治療する事も考えてみて欲しい。」とスズカさんは真面目な声で言った。

きっと、自分の身体のことを話すのは勇気がいっただろうに。
夫婦だけが知っていればいい事だったのに。
私は真面目な顔で
「ありがとう。」と言って、ちょっと、涙が溢れてしまった
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