ビター・アンド・スイート

寒い夜はお鍋にして。

夕飯時にやってきたリョウはいつもどおりに機嫌よく家族に挨拶してから
夕食に普通に加わった。
とても自然で、私と暮らすようになったのが2ヶ月に満たないなんて思えない。
とちょっと横顔を覗く。
「スパはどうだった?」と私に聞くので、
「のぼせるほど、楽しんで来ました。」と笑うと、
「スパって混浴じゃないから、一緒に行ってもつまんねーな。」と言って、
「温泉に行けば、貸切の露天風呂って言うのもあると思うけど。」とヤヨイがリョウ顔を見る。
「温泉ねえ。手足を伸ばして風呂に入れるっていいかもね。
ハヅキ温泉行きたい?」と聞くので、
「リョウの仕事が暇になったら、考える。」と笑うと、
「俺の仕事が忙しくない時はねーな。だから、出かけたいって思ったら、
言ってよ。俺、仕事の調節するから。」と私の顔を見る。
「じゃ、とりあえず、リョウの誕生日は、夕飯をゆっくり食べたいかな。」と言ったら、
「ああ、もうすぐ俺って誕生日だったっけ。」と黙り、ハッと私を見て、
「ハヅキの誕生日忘れてたあ!」と大声で言って、頭を抱えた。
「何を言ってるんですか?とっくの昔の話ですけど。」と笑って言うと、
「ハヅキって30歳になったの?」と聞くので、
「それがなにか?」と上目遣いで睨んでやったら、
「もう、オトナじゃん。俺と結婚してよ。」と私の顔をみる。
私は顔が赤くなる。
こんな家族が揃ってるところでそんな事をいう?
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