キミの隣で恋をおしえて〈コミック版:恋をするならキミ以外〉
19.特別と約束。
高校3年生の夏は、早い。
毎週のように行われる模試。
その結果を見る度に一喜一憂。
夏休みのはずなのに、毎日のように学校で顔を合わせるクラスメートたち。
「……はぁ。この前の合コンも失敗だった」
眩しすぎる空を睨んで、ナッチが言った。
クーラーの効きすぎた教室と、灼熱の太陽に照らされている外は、同じ夏とは思えない。
今年はみんな、肌も白いまま。
「なべっちと平瀬くんが主催の…?」
「そー!いい男の周りにいい男あり、って信じて参加したのに、何かみんなチャラいんだもん~。一夏の相手、なんてあたしは嫌~~」
「ナッチ、前は一夏の恋でもいいって…」
「なわけないじゃん!本当は永遠に続く愛を探してるに決まってんじゃん!どうしてこんなに努力してるのに彼氏出来ないんだろ~~~!!」
確かにナッチの努力は凄い。
あたしは途中であきらめたダイエットも、ナッチは見事成功させた。
病院搬送事件以来、落ち幅はぐんと減ったらしいが、目標のマイナス5キロはクリアして、今もそれをキープし続けている。
「髪も、ネイルも、肌も全部、完璧なはずなのに~~~!!」
「完璧すぎるから、ダメなんじゃね?」
「―――、」
すっかり黒髪が板についた安川くんが口を挟んだ。
「なんだって?ヤス」
ナッチの目が据わる。
「あっ、いや…。うん。有野が必死だから言わないでいたけど…。男ってさ意外と本気になる子って素朴でギラギラしてなくて、守ってあげたい雰囲気の子だと思うんだけど」
安川くんはナッチから視線を逸らしたまま、恐る恐る言った。
「……んなのあんたの好みでしょ?」
「いーや。意外と的を得てると思うぜ」
「桜田!」
景山先生に家まで迎えに来られたと嘆いていた桜田くんが、そこに顔を出した。
「はぁ~?桜田が言っても説得力ないよ~」
ナッチは聞く耳持たず。
「な?こーゆーとこが彼氏を逃がしてる要因ってやつ?」
桜田くんがあたしの耳元でこそりと言った。
「で、チェリーちゃんはその後どうよ?アンドーとえっちした?」
「!!!」
さらっと言う桜田くんに、ナッチも顔を上げた。