恋は理屈じゃない

恋の自覚


次の日の木曜日。週末の結婚披露宴に使う花の入荷チェックの仕事を終わらせると、琴美と会うために予約したアジアンダイニングに向かう。

ダークブラウンのラタン素材のテーブルとイス、手のひらのような葉が特徴的な観葉植物のパキラが置かれた店内は南国ムード満載。案内されたテーブルに腰を下ろしてしばらくすると、琴美が姿を現した。

「鞠花。お待たせ」

「待ってないよ。私もさっき来たばかり」

「そう? じゃあ取りあえずビールでいい?」

「うん」

グラスビールが運ばれてくると、乾杯をする。そしてサーモンのカルパッチョとエビの生春巻きをオーダーした。

「ねえ琴美、私と遊園地に行かない?」

「えっ? なに、急にどうしたの?」

「実はね、副社長が取引先の人から遊園地のチケットをもらったんだって。だから友だちを誘って行ってくれって、言われたの」

ビールを飲みながら、速水副社長とのやり取りを説明する。

「へえ、そうなんだ。副社長ってお姉さんの彼氏だよね?」

「それがね……」

お姉ちゃんと速水副社長が別れたことを、そしてお姉ちゃんが速水副社長の秘書である笠原さんの子を妊娠していることを琴美に打ち明けた。

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