クラッカーにはご用心
「外出許可を」


「あないな怪我して、外出許可出たんか?」



「……………。」



殊犂の目線が逸れる。



実は、1度来たきりの蜜穿を探したく、医者に無理矢理外出許可を取り付けた。


激しい運動をしないようにと言われていたのにもかかわらず、息が切れるほど走ってしまったことも言い訳が出ない要因の一つだ。



「うちを探しとったちゅーことは、兄ちゃん達と同じであんたも聞いとらんみたいやな。」


「何を?」



「まあええわ。目的は達成されたんや、帰るで。」


「お、おい…押すな。」



蜜穿は殊犂の背を押し、病院へと連れ戻しにかかり足早に出て行った。



「なんや、取り越し苦労やったな。」



「けど、元気になって良かったわ。」


「ほんまやね。」



蜜穿の様子に、楮筬と碑鉈と剣は安心する。



「慌ただしいやっちゃ。」



鰍掩は鬱陶しそうに言うが、その顔は嬉しそうだ。



「かっきー、蜜穿んこと知っとったんか?」


「さっき会うた時に聞いたんや。蜜穿様携帯持っとらんし探すに探せんかったし。」



柿蒲も先程、事の顛末を聞いたようで、全ては掎蹟の連絡ミスが原因だった。
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