クラッカーにはご用心
「けどほんま、あの子様々ですわ。証拠のデータを保存してたクラウドはオリジナルやゆうてましたし、あの子の頭ん中どうなってんのでしょうね。」



クラウドに名前は無く、蜜穿が作った架空のサイト。


その存在は叡執も知らなく、裏事情を蜜穿がコツコツと記録したものだ。



「辿り着き方は、あの子本人か、藹革さんからだけやし。パスワードやって、俺にはさっぱりですわ。」



殊犂の家を出る前に、殊犂の携帯のアドレス帳へ『みつばち』の名でクラウドのURLを登録した。



誰宛でもなかったクラウドに宛先が出来たから。



いつか殊犂が見つけてくれることを願って。


殊犂にしか分からない符丁付きで。



「『単純なお巡りさん、あんたのお名前は?』だったな。多分俺のことだろう。」


「さすがですね。何で分かったんです?あの子も藹革さんにしか分からん言うてましたし。」



「……飴魏蜜穿がお巡りさんと呼ぶのは俺だけだ。これくらい分かるようになれ。」


「はい!精進します!」



掎蹟は尊敬の眼差しを向ける。


しかし実際に蜜穿から単純と言われたことを知られたく無かった為、殊犂は呼び方の方にして誤魔化した。
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