ミケとクロ。


「っあ! ……えと、あの、みーくん? その……」

いまさら、用事なんてありませんでした、なんて言えない。
聞きたいことはあるの、とっても大事な事。

 だけどまだ言えないから。

ショート寸前の頭ではなかなか良い言葉が思いつかなくて、我ながら自分は馬鹿だなあなんて思ったり。
こういう時にもう少しマシな言い訳をしてみたい、なんて思っても無理なものは無理で。

「……今日の、放課後はお暇ですか?」

キョトンとしてる彼をしばらく見つめると、ふはっと吹き出した様に私の大好きな笑顔が見えた。

「いきなりなんだよ、俺は放課後クロのために空けてるっていつも言ってるっしょ?」

いつも通りはにかんだ笑顔で笑った彼が私の頭をぐしゃぐしゃに撫でるから、自然と笑顔が移ってしまう。

 ああ、違う。本当に聞きたいのはこういう事じゃないの。


 ____好きな人、私?


今日ものみこんだこの言葉は、まだあなたには教えない。
頭を撫でる大きい手から彼の体温を感じでこぼれる笑みが止まらなかった。
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