欲情プール


「あれ、その時計…
確かプレゼンの時にもしてましたよね?」

接待に向かう慧剛の見送りに…
会社前でタクシーを待ちながら、ふと気付く。


「よく覚えてるな」


「はい。すごく素敵だと思ったので」

あの時はそれどころじゃなくて、話題にはしなかったけど。


「ありがとう。
俺の1番のお気に入りで、勝負時計なんだ」


勝負時計…
今日の接待は、今後の社運をかけた大事な接待だからだ。


「頑張って下さいね。
専務なら上手く行くって信じてます。
あ、タクシー来たみたいですよ?」


「ん。じゃあ茉歩…
今日は一緒に居られないけど、その分明日な?」


「…はい。

あっ。雨が降りそうなので、傘を持って行って下さい」


優しい声とその言葉に寂しさを絆されながら…
傘を差し出した、途端。



「ちょっと!ケーゴっ!!」


いきなり怒鳴り込んで来た状況と、その相手に…
驚愕の目を向けた!


そのコは見覚えのある…

聡の不倫相手で。


どういう事なのか、訳も解らず混乱に襲われると!


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