欲情プール
この人は、大崎不動産の…!

驚きながらも…
またしてもデリカシーのない介入に、怪訝な顔を返すと。


「顔色が悪かったんで、気になって…」

相変わらず臆する事なく、とても優しい眼差しが向けられた。


なんだか今日は、それが妙に心を溶かして…


「いえ、平気です…
ありがとうございます」

素直に、心遣いへの感謝が零れた。


顔色、悪かったんだ…?
あの朝は涙目も見られたし。
この人には弱ってるとこばっか見られちゃうな…

そう思った矢先。



「あの。
良かったら、俺の所に来ませんか?」


「……、は?」



せっかく和んだ気分だったのに。
意味不明な言動で途端に不快感が押し寄せて、露骨な反応をぶつけた。


そんな私を…
ワイルドなその人は、柔らかな笑顔で包み込む。


「すいませんっ。
さっき隣で、聞こえちゃって」

そうハローワークを指差して。


「仕事、探してるんですよね?
俺も今日、求人の申込に来てて…」

そこまで続けると、スッと名刺を差し出してきた。


< 17 / 289 >

この作品をシェア

pagetop