欲情プール
「よそ見してたら、俺が奥さんもらっちゃいますよ?って」


「っ、ええっ!?」

あまりにダイレクトな挑発内容と、一瞬真に受けてドキリ弾んだ心臓に、クールさも保てず驚いた。


「冗談だよ、茉歩っ。
悪い、ちょっと茉歩の取り乱したトコが見たくて!」


「っ…!!

ずいぶん悪趣味なんですね?」

信じられない、この人!
怒りを通り越して、ほんとに呆れる…


「そう怒るな」

なんて。
頭をぽんぽんして来て…

それで宥められてしまう自分がもっと嫌だ。



「旦那さんには、名刺渡して。
"奥様にはお世話になってます"って、普通に挨拶したんだけど…
でも不審がってるなら、充分ヤキモチ効果があったんじゃないのか?」


「…かもしれないですね」

その普通の挨拶も…
言い方によっては意味深な気もするけど。






でもそれから数日後。

約2ヶ月間、私を苦しめて来た離婚騒動は…
呆気なく幕を閉じた。


< 83 / 289 >

この作品をシェア

pagetop