蒼の王様、紅の盗賊
 
 
 
 





 
「ほら二人共。
そんな暗がりなんかに居ないで、こっちにいらっしゃいよ?
今日は月がとっても綺麗よ?
........って貴方達にはロマンチックに月を眺めるのは似合わないけれど」




意外と毒舌である。

........。
レイアと呼ばれたその女に諭された二人の男。
二人して彼女の言葉に苦笑いを浮かべ、今まで居た薄暗い場所から彼女の居る月明かりで仄かに明るい場所へと出てくる。





――――。
その月明かりに照らされて、今まで見えなかった男たちの姿が次第に明らかになる。






「おう、レイア!
久しぶりじゃねぇか♪」



そう言うのは、あのヘラッとした緊張感の全くない声の主。
紅がかった茶色に髪を後ろで軽く束ね、琥珀色の瞳を持った見た目十九くらいの青年。バルト。








「そうだったな。
すまないな、レイア」




そして焦げ茶色の短い髪に軽く顎に髭を生やした見た目三十路を過ぎた辺りの男。
"団長"と呼ばれたクロア。

そんな二人の姿が、煌めく月明かりに映し出される。










「本当に久しぶりね、バルトにクロア団長?
半年ぶりくらいかしら?」



「あぁ、それくらいになるな」



「フフッ。時が経つのは早いものね。
........。
それで今回は何かしら?
任務のための召集だってことは大体察しが付くのだけれど」




ッ。
彼女は指先で薄紫色の少し跳ねた毛先を弄びながら疑問の視線をクロアに送る。





 
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