隣のマキオ
初めての。
かちゃりと鍵を開けて、部屋に入る。

宮前陶子にとって、生まれて初めてのひとり暮らし。
実家暮らしをしながら、OLとして働き、コツコツとお金を貯めたのだ。

2LDK。

ひとりで暮らすには、十分すぎる広さ。

バス、トイレは、別になっているし、
リビングが東南向きで、明るい日差しが差し込む最高の立地だった。

「おっしゃ、掃除するかあ」

陶子は、独り言で気合を入れると、窓を全開にした。

5月の爽やかな風が部屋に入ってくる。

うーんと伸びをしてそれを胸いっぱいに吸い込んだ。

今日から、気持ちを入れ替えて頑張ろう。

悟のことは、もう忘れるんだ。

3週間前まで恋人だった悟の顔が浮かんで、泣きそうになる。

頭をブンブンとふってそれを追い払った。
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