【完】『大器晩成』

数日後の朝。

けたたましい着信音で起こされた眞姫は、

「四ツ橋警察署ですが」

という電話を最初は詐欺と思っていたらしい。

それが何度も来るので、たまらず駅前の交番に相談をすると果たして、

「本物ですね」

という話で、詳しく聞いてみると、どうやら西長堀のマンションにいた父親が、警察に逮捕されたとの由であった。

「何をしでかしたんですか?」

「お嬢さんがグラビアのお仕事をしてるからと、芸能界に入るために若い女の子から金品を騙し盗っていた」

というのである。

「事情をうかがいたいのですが」

という警察署に、

「もう私はグラビア辞めてますし、仕事もありますから」

と眞姫は嫌気も露骨に返すと、

「グラビアはお辞めになられてるんですね?」

「一年半ぐらい前に辞めました」

というやり取りがあって、頭に血が上ってた眞姫はたまらず、例の解体屋の社長の手付金で父親が稼ごうとした話をぽろっと出した。



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