【完】『大器晩成』

さすがに。

それに嫌気がさした眞姫は、北新地の店を辞めると次は難波の店で、源氏名もマリエに変えて働き始めた。

すると。

曽根崎遊廓の流れをくんだ物見の高い北新地と違って、ヒールを折られたりすることもなく、小さな店ではあったが筆頭のホステスになって、ミナミでは少しは知られた顔になったのである。

そのうち。

「島ノ内のマリエ」

と言われるほどの売れっ子にまでなって、取り敢えず両親に西長堀のマンションを買い与え、みずからはミナミに近い難波に移って、独り暮らしを始めたのであった。




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